議会活動報告

開設前から計画見直し!?「ナノ医療イノベーションセンター事業」は、大丈夫?

2015年2月18日

2015年の4月開設予定の「ものづくりナノ医療イノベーションセンタ―」事業について、事業採算が厳しいという匿名の告発が寄せられました。
早速調査したところ、収支計画を見直さざるを得ない状況であることがわかりました。
その理由は、当初見込んだ床面積の内、賃料収入を見込めない共有スペース部分、設備ユニットスペース部分も含まれており、賃料収入が大幅に減ること。 当初借りる予定だった研究機関が、大幅に床面積を減らしたことなどが原因です。

■そもそも…
「ものづくりナノ医療イノベーションセンター」事業が国の補助採択されたことを受けて、土地取得費及び施設整備費貸付けの補正予算を提案。殿町の特区内に約8千㎡の土地を川崎市がURから16.4億円で購入し、市産業振興財団に貸付け、施設整備費に市が10億円貸し付けるための市債を発行するというもの。土地の取得費は2年間据え置きで、年間1億7800万円を8年間で返済。その財源は、賃料4300万円と土地開発基金から1億3500万円で、賃料で土地の元がとれるのは38年後。10億円の貸付けの償還期限は30年後というものです。

■川崎市からの研究補助は予定していないと言っていながら…
佐野議員は、昨年の予算議会で代表質疑に立ち、ノウハウもない川崎市が、①国の補助採択を優先するあまり、事業主体である産業振興財団の力量を超える計画を押し付け、リスク管理も曖昧なまま見切り発車すること。②提案する側の教育機関や企業等に対して、共同事業者としての事業実施責任も曖昧なまま進めることの危険性を、他都市での事例を踏まえて何度も念を押しました。
当時の総合企画局長は、当事業は、それぞれの研究主体が国の補助や企業からの支援などにより研究を進めるもので、本市からの研究補助は予定していないと胸を張って答弁されました。ところが、来年4月開設を前に、今頃になって、収支計算の見直しを行い、税金投入云々ということまで取り沙汰されています。

■事業収支計画は全くでたらめだった
また私は、昨年の予算議会での代表質疑の中で、施設整備費に対する貸し付けについて、民間の金融機関で貸し付けを受ける場合には、債務不履行にならないようにしっかりとした事業計画に基づいて返済能力についても厳正な審査が行われることから、事業主体、共同事業者、事業に対する返済能力、事業収支計画、貸し付けに対する債務保証について具体的に尋ねました。
さらに、施設整備費として10億円も貸し付けないで、補助採択予算内で計画することは考えなかったのか。段階的に拡充することも十分考えられますし、ましてや将来性があるものであれば、民間からの投資を集めることも可能ではないのか。それが難しいのは、暗にリスクが高く、投資が集まらないことを示しているのではないではないかと質問しました。
当時経済労働局長は、本事業は産業振興財団が事業主体となり、東京大学、東京工業大学、東京女子医科大学、富士フイルム、ニコン、ナノキャリアなどを共同事業者として実施するもの。
事業収支につきましては、国の補助金公募要領では、本事業で整備する機器・施設の利用に当たって、利用者から適正な対価を徴収することで運営・管理に必要な資金が確保できる見込みであることとされており、当センターに入居を予定している主な大学や企業等は、こうした要件に基づき、本事業について共同で提案していることから、事業運営に必要な財源については、施設等の賃料収入から安定的に確保できるものと考えていると答えていました。

ところが、当初賃料収入を見込める床面積に共有スペース部分が含まれていたり、国や企業などからの支援によって資金確保が見込めるとしていたものが、予定通りにならなかったということです。
私が指摘した通りに、4月竣工直前で大きな危機を招いたいています。昨年議会に提案した時の説明は全くのでたらめだったということになります。

■他都市の事例を踏まえ議会論戦で、研究費への補助金を戒めてきた
もともと、前市長時代における特区計画では、神戸市や鶴岡市などの実態に基づく道理ある日本共産党の論戦によって、市長や担当局長も土地購入や設備への貸付に止まり、研究費は民間資金や国からの補助金によって行うべきものとして、研究費への税金投入は行えませんでした。
ところが福田市長になって新年度予算から直接研究費への補助を行うことが検討されています。ひとたび研究費補助に踏み出せば、補助対象は、一部に留めることができず、他の研究事業にも拡大することになりかねません。また、成果が出るまでどれだけの期間がかかるのかわからない研究開発の性質上、補助期間が長期化する可能性が大きく、一般会計から毎年毎年福祉暮らしに回すべき税金を削って、つぎ込み続ける危険性が大です。

■当初の通り、研究資金は国や企業からの支援などで集めるべき!!
佐野議員は、12月議会一般質問に立ち、「市民には、『極めて厳しい財政状況』を強調し、『スクラップ・スクラップ・アンド・ビルド』と述べている時に、税金投入など対応次第では、市長に対する説明責任が厳しく問われることにもなる。一切の税金投入は有り得ないと明言すべき」と市長に迫りました。
市長は、税金投入しないという明言を避け、今後提出される収支計画をしっかりと精査、検討していくと答えるにとどまりました。
そこで私は、「他の部局では、極めて厳しい財政状況という通達に従って、予算執行を抑えさせられている。市民要求についても財政が厳しいからと我慢を強いられている時に、この状況を知ったらどう感じるか」と述べ、研究開発の分野への道理のない税金投入は、厳に戒めるべきと指摘しました。